腹筋・背筋を鍛えれば腰痛は良くなる?整えるケアと筋力強化のバランス
腰痛の原因は、腹筋や背筋の衰え??

腰痛になると、「腹筋と背筋を鍛えなさい」と言われることがあります。
また、自分で「鍛えれば良くなるはず」と考える方も少なくありません。
結論からいうと、腹筋や背筋の筋力だけが腰痛の原因であることは多くありません。
つまり、筋トレが直ちに最適解とは限らない、ということです。
もし筋力不足だけが主要因なら、筋力が落ちやすい高齢の方はほぼ全員が腰痛になるはずですが、実際にはそうとは限りません。
腰痛には、骨盤や背骨のアライメント(配列)、筋膜の張力バランス、日常の動作や姿勢のクセなど、複数の要因が関わります。
腰痛は、腹筋や背筋がなくても良くなる?
当院にご相談くださる方の中には、細身で腹筋・背筋が強くない方でも、日常動作がラクになっていくケースが多くあります。
これは、「筋肉の強さ」よりも「からだの使い方や骨格のバランス」が鍵になる場面が少なくないためです。
筋肉は骨に付着しています。
骨盤や背骨のバランスが乱れると、筋肉も本来の働きを発揮しにくくなり、結果として痛みやこわばりに繋がることがあります。
そのため、まずは骨盤や背骨のバランスを整えることを優先し、その上で必要に応じて筋力を補っていく流れが理にかなっています。
まとめると、「鍛える前に、整える」。この順番が大切です。
鍛えることが必要なケースもある
ここまで「筋力だけが原因ではない」ことをお伝えしましたが、筋力の低下が腰への負担に関係するケースも確かにあります。
次のような場合は、整える(アライメントの改善)+必要な筋力を補うアプローチが役立つことがあります。
- 加齢や不活動による筋力低下
体幹や下肢の筋力が落ちると、姿勢保持や荷重時の安定性が下がり、腰部に負担が偏りやすくなります。 - 骨盤の前傾・後傾が強い
骨盤が前に倒れすぎる(前傾)/後ろに倒れすぎる(後傾)状態が続くと、腰椎のカーブが過度になったり、逆に失われたりして、腰部の組織にストレスがかかりやすくなります。
例:前傾が強い→腰椎伸展が優位になりやすい/後傾が強い→腰椎屈曲ストレスが増えやすい 等 - 臀筋(お尻の筋肉)の衰え
中臀筋・大臀筋は骨盤の安定化に重要です。
ここが弱いと骨盤が不安定になり、歩行・立ち上がり・片脚荷重などの場面で腰の代償が増えることがあります。
上記のケースでは、①骨盤・背骨のバランスを整える → ②適切な部位を狙った軽い筋力トレーニングで「支える力」を戻す、という順番がポイントです。
やみくもに回数を増やすより、狙いを絞った少量×継続の方が、結果的に安全で効果的なことが多いです。
ポイント:
「整える」+「必要な筋力を補う」の両輪で、日常動作の安定性を高め、再発しにくい状態を目指します。
(エクササイズの内容・量は個人差があります。無理のない範囲で行いましょう)
よくあるご質問
Q1. 腹筋や背筋を鍛えると、腰痛は良くなりますか?
一律に「良くなる」とは言い切れません。腰痛の背景は人によって異なり、原因が筋力低下だけとは限らないためです。
ただし、筋力低下・臀筋の弱さ・骨盤の前傾/後傾など姿勢の崩れが関わっているケースでは、土台(骨盤・背骨のバランス)を整えたうえでの軽いトレーニングが、再発予防や動作の安定に役立つことがあります。
まずは現在の状態を確認し、痛みが強い時期は無理をせず、低負荷で様子を見ながら進めましょう。
Q2. 腹筋や背筋が弱いと腰痛になりますか?
筋力が弱いこと自体が直接の原因になるとは限りません。
実際、筋力が強くても腰痛を感じる方もいれば、筋力が少なくても快適に過ごしている方もいます。
ただし、筋力の衰えが姿勢の崩れや骨盤の傾きに影響する場合は、腰への負担が増えて痛みにつながることがあります。
つまり「筋力が弱い=必ず腰痛になる」というわけではありませんが、
生活習慣や姿勢のクセと重なったときに症状が出やすくなる、という考え方ができます。
Q3. トレーニングを控えるべきタイミングや、医療機関への相談の目安は?
次のような場合は、無理に鍛えず安静や冷却を優先し、必要に応じて医療機関の受診を検討してください。
- 急に強い痛みが出た直後(ぎっくり腰など)の急性期
- 安静時や夜間にも強い痛みが続く
- 転倒・外傷後の痛み、発熱を伴う痛み
- 脚のしびれ・力が入りにくい・排尿排便の異常など、神経症状が疑われる場合
落ち着いてから段階的に再開するほうが、安全で結果的に近道です。
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